2017.12.12 就活
就活生必見!達人たちから学ぶプレゼンの極意【スライドデザイン編】


◆ はじめに


皆さん、こんにちは。エンジニアを目指す学生を応援するメディア「Career Tech」です。前回の記事ではプレゼンにおいて「構成」という要素が重要であることをお伝えさせていただきました。

「構成」という武器を使うことで、より自らのプレゼンを印象づけるヒントとなったのではないでしょうか?  

今回は、プレゼントと言うと思い浮かべるもう一つの重要な要素、「スライドデザイン」について、プレゼンの達人たちを具体的な例として、学んで行きたいと思います。


◆ イケてるスライドデザインはプレゼンをより魅力的にする

Photo by Freepik


さて、スライドデザインを良くすることで、どのようなメリットや効果を得ることが出来るでしょうか?  

最も強い効果として挙げられるのは、退屈なプレゼンに対して惹きつけることが出来るというものです。    

人間が集中力をキープできるのは3分までとも言われています。  

そうした中で、いかに素晴らしい構成や準備を進めていても、そもそも人間には理解することが出来ません。  

しかし、デザインとはそもそも「見ている人間を惹きつける」という基本原理のもと、生み出された学問です。

これをプレゼンに応用しない手はありません。  

ご存じの方も多いかとは思いますが、ここではTEDをお手本にしてみたいと思います。  

TEDというのは「広める価値のあるアイデア」というスローガンのもと、カンファレンスを開催しているNPOであり、インターネット上で多くの高品質なプレゼンテーションの動画を公開しています。  

今回はそんな中でも、東大入試の合格を目指す人工知能「東ロボくん」の開発者でもある

新井紀子さんのプレゼンテーションを例に挙げたいと思います。  


まずは、実際のプレゼンテーションを見てもらうと良いと思います。


新井紀子: ロボットは大学入試に合格できるか? | TED Talk | TED.com



新井さんのスライドデザインは決して派手なものではありませんが、あとに述べる基本を守り作られています。

実際のところ、皆さんも研究発表などで「証拠となる数字やデータを示し、自分の主張に正当性を持たせる」といったようなプレゼンを行ったことはあるのではないでしょうか?

まだという方もこれからそのようなプレゼンを行う機会はまだまだあると思います。

そういった発表をする時は、ついついデータを並べたり、文字で説明をしようとしたりしてデザインを蔑ろにしてしまう事ってありますよね?

しかしながら、これから学ぶデザインにおける重要な法則をいくつか守ることでより今までのものから、ワンランク上のスライドデザインへとレベルアップすることが出来るようになると思います。


◆ イケてるデザインを構成するための4つのデザイン原則


今回は、多くの読者から支持を受け、20年以上前から読まれ続けている大ベストセラー、非デザイナー職向けのデザイン本の大家である「ノンデザイナーズ・デザインブック」からスライドデザインにおいて本当に重要なデザイン原則を4つご紹介したいと思います。


近接


まず初めに覚えたいのは、近接の原則です。

近接とは「関連した情報をまとめてグループ化し、近づけること」であり、図にも示されている通り、同系統の情報を近づけることや見出しとテキストを固めて配置することでより視認性を高め、また情報を伝える際のノイズを省くことが出来ます。  

パワーポイントでは箇条書きのテンプレートが主ですので、勝手にこの原則が当てはめられていますが自由配置を使用した際に、情報がバラバラになってしまうことがあると思います。  

しかし、近接の原則を意識するだけで、情報を正しく配置することが出来ます。


整列

 

次に意識しておきたいのが、整列の原則です。  

整列とは「関連した情報の始まり部分や終わり部分を揃えること」ということで、行頭や行末を揃えることによって、脳が勝手に見えないはずのラインを引き、そして情報を無意識下で追いやすくなること意図しています。  

こちらもノイズが入りづらくなり、より集中してプレゼンを聞いてもらうことが出来ます。

反復


 

次もそんなに難しくありません。反復の原則です。  

反復とは「デザイン上の特徴を何度も繰り返すこと」であり、装飾やフォントに見出しの意味をアンカリングし、よりプレゼンを理解しやすいものにします。  

また見た目を画一的なものにすることで、退屈なスライドにデザイン的なリズムを生み出し、視覚的にも面白さを加えることが出来ます。  

見出し項目や箇条書きには、このフォントでこのサイズと決めておくと良いかもしれません。

コントラスト



最後にコントラストの原則です。  

コントラストとは「対比」のことであり、「はっきりした違いを生み出すこと」です。  

この原則も、情報の整理に貢献するだけでなく、視覚的に飽きさせないというスライドデザインを作る上で欠かせない役割を担っています。  

注意を働かせたい部分のみを対比することで、目線をキャッチし、もしも興味があれば、より詳しい内容をその下に書いてある説明から読み取ることが出来る、そんなスライドとして仕上がるため、あとで配布資料としてスライドを配る場合にも有効な原則です。


◆ スライドデザインを1ランク上げるための小技


さて、デザインの4原則については学ぶことが出来ました。  

これらの原則を使い、今からスライドデザインを始めてもらいたいところですが、あなたのスライドをもう一歩洗練されたものにするためのちょっとしたテクニックもご紹介したいと思います。  


スタイリッシュな色を選ぶための方法

イケてると言われるスライドの共通点として、かっこいい色を選んでいるケースが圧倒的です。  

今でデザインの原則についてきて述べた通り、もちろん色にも法則性があります。まずは、  


1、背景色  

2、文字色  

3、注意を惹かせたい色  

の3色を決めてください。  そしてこれらを4:2:1の割合で使ってみてください。  

それだけでも十分効果があるかと思います。



更に、イケてるスライドデザインの多くは、同じ赤でも、くすんだものや蛍光っぽものまで色々な赤から最適なモノを選び抜かれているようで、一方で自分がスライドを作る際には、あまりの色の多さに「なにを選べば良いんだ…」と絶望してしまうことが多かれ少なかれあるかとは思います。    

色選びに失敗してしまっては、色の割合が正しくても元も子もないデザインとなってしまいます。

配色が苦手、色彩センスが欲しい、そう感じているあなたにオススメのサイトがあります。  


それがAdobeが公開している色見本サイト、Adobe Color CCです。


Adobe Color CC

このAdobe Color CCを使うことで、色々な色の組み合わせから、自分の好きな色の組み合わせを選べるだけでなく

他のユーザーからのお気に入り数を参考にした人気順に並べ替えることも出来ます。  

大体の場合は、このサイトで上位に来ているカラーセットを選ぶことが得策でしょう。

私も色彩感覚が乏しい方だと思っているのでいつも使わせてもらっています。そんなわけでとてもオススメです!  


Adobe Color CC


イケてるフォントを選ぶための方法



イケてるスライドデザインの共通項として、もちろんフォントについても避けられない要素の1つです。  

多くの方が犯しがちなミスなのですが、デザインの経験がない人がスライドをデザインする場合、基本的には、1つのスライドファイルにつき1つのフォントをずっと最初から最後まで使うべきです。  

反復の原則でも出てきましたが、途中でフォントを変えることで聴衆を混乱させてしまう可能性が生まれるからです。  



日本語のフォントを選ぶ場合、Widowsをお使いの方は「メイリオ」を、Macをお使いの方は「ヒラギノ角ゴ」を選択することをオススメします。多くの場合、これらのフォントを選んでおいて間違いはありません。  

もしもこだわりたい方がいらっしゃった場合のためにお話すると、  無料フォントでもスペックが高いのが、GoogleとAdobeが共同開発した「源ノ角ゴシック」です。  

こちらはAdobeのサービスであるTypeKitにて、入手可能です。  

とても使い勝手が良いので、可能であればインストールしておくことをオススメします。  


無料でも使える!? Typekitまとめ:16年春【正しく知り活用しよう】 | Adobe Creative Station


日本語のフォントを選ぶ場合、Widowsをお使いの方は「Arial」を、Macをお使いの方は「Helvetica」を選択することをオススメします。そもそも、「Helvetica」はフォントの王様と言われており、多くの有名企業がこぞって企業ロゴに採用しています。日本ではPanasonicやMUJIなどが代表例でしょう。  

マイクロソフトがそのHelveticaを真似て作ったのが「Arial」ですので、こちらもこの2つを選んでおけば、まず間違えることはないでしょう。こだわりたい方にオススメのフォントとしては「Roboto」というフォントが挙げられます。Googleが開発したこのフォントはAndroidやGoogle Chromeのフォントとして採用されており、上記の2つのフォントと比べて、やや細身な文字が特徴です。こちらもGoogleFontsより無料でインストールできます。  

   

Roboto - Google Fonts


文字をジャンプさせる



上の図を見ていただくと、直感的に意味がわかるかと思います。  

もしもあなたが「2020年卒」であることを伝えたい時、上と下のどちらを選ぶでしょうか?  

もちろん下のほうが強調されたデザインになっていることは言うまでもありません。  

このように伝えたい一部分だけ、フォントサイズを変えて大きくすることでデザイン的にスタイリッシュな見た目に変えることが出来るだけでなく、なにを伝えたいのかという部分でメリハリをつけることができます。  


◆ まとめ


「スライドデザイン編」、いかがだったでしょうか?  

就活を始めていらっしゃるエンジニア学生の皆さんが、今後どういった機会でプレゼンをされるのかは分かりません。  

もしかしたら、逆求人イベントなのかもしれませんし採用面接でプレゼンを求められる場合もあります。  

しかし最後まで、意識していただきたいのは「プレゼンは相手になにかを伝えるための手段に過ぎない」ということです。  

・自分が本当に伝えたい核となるメッセージは何なのか?

・相手にどういった行動を起こしてほしくてプレゼンするのか?  

・相手にとってのメリットはなにか?

というような構成編で学んだ、プレゼンの必須要素を意識し、そこに向けて必要なプレゼンのスライドを、コアを伝えるためにデザインし、実際にプレゼンをして伝える。  

自分は凄いとおごるためでもなく、自分のスライドデザインは凄いといばるためでもありません。  

あくまでも相手に伝えるという手段であることを、最後まで頭の片隅で意識していただけるとありがたいです。  

この2回の連載を活かし、構成、そしてスライドデザインで差をつけ、自分の理想とする未来を実現するための手助けとなることを期待しています。頑張ってください!


参考書籍:ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]/Robin Williams/マイナビ出版